イベントレポートVol1
 腎臓移植を社会全体の大切な問題だと認識して推し進め、透析療法や腎臓移植を一般の方々に十分に理解してもらうことを目的に、 北海道の有志により結成された「腎移植を学ぶ会」。その運営委員であり、「国立病院機構西札幌病院」の小児科医長を務める 星井桜子先生に、腎移植医療の現状についてお話をうかがいました。


「現在では小児の透析は腹膜透析が主流ですが、学校検尿システムで腎臓病が早く発見され、治療もどんどん進歩し、小児期に腎不全になるケースが少ないため、その数は多くありません。また、最近は、こどもでは透析をせずに先に生体腎移植を行うのが主流になっています。献腎移植の現状としては、小児の移植では16歳未満に優先ポイントがあたり、14年待機された方とほぼ同じ条件になるのでとても有利です。しかし、16歳を過ぎると優先ポイントがなくなり、20 代後半まで献腎移植は難しくなります。どのタイミングでこどもの生体、献腎移植を勧めるかも重要です。生体移植には倫理的な問題もありますが、こどものために何かしたいという家族の希望も強く、ドナーになることの満足感も大きいです。私自身は、こどもを育てる親とほとんど同じ心境で、喜んだり悩んだりしています。」

 忙しい診療のかたわら、「腎移植を学ぶ会」でも精力的に活動されている星井先生。会の立ち上げには、どのような思いがあったのでしょうか。
「この会以前にも北海道小児腎不全研究会という会で推進活動をしていましたが、北海道から発信して日本の移植の流れを変えることができたらと思い、移植医の先生方と激論を重ねた末、この会を立ち上げました。最初に行った医療関係者向けの勉強会は大盛況で、その勢いで患者・家族のための講演会も始め、今年で9年目を迎えました。現在では、中学や高校などでの学校講演も行っています。」
今回お話をうかがったのは、 国立病院機構 西札幌病院の小児科医長であり、「腎移植を学ぶ会」の運営委員として腎臓移植の推進に尽力されている、星井桜子先生。

移植医療の現状と、会の活動への思いについてお聞きしました。
移植に関するこどもの教育も目指す星井先生に、今後のご自身の活動の展望を聞かせていただきました。
 「昨年より、尊敬する藤堂教授を中心とする北海道移植協議会に所属させていただいたことで、いろいろな考え方やアプローチがあることを学びました。日本に脳死移植が根付くにはどうしたらよいのかさらに勉強したいと思い、欧米の大学での聴講なども探しています。」 最後に、ホームページをご覧の皆さんへのメッセージをいただき、インタビューをしめくくりましょう。「移植医療について考えることは、自分や身近な人の死について考えるきっかけとなり ます。マーガレット・サンダー医師が『死は成長の最終段階』と述べているように、皆さんも死について考えることで自分の生き方を考えることができると思います。」
【星井桜子先生プロフィール】

国立病院機構 西札幌病院小児科医長。
札幌医科大学小児科講師。
1984年から小児腎臓病、腎不全の診療に従事。
専門は小児の腎臓病、腎不全、腹膜透析。
所属学会は、日本小児腎臓病学会(理事)、
日本小児科学会(代議員)、 日本透析医学会(指導医)、
日本腹膜透析研究会(評議員)、小児PD研究会(評議員)など多数。