イベントレポートVol2
北海道大学病院で実際に移植手術を手がけ、
また当協議会のメンバーとして移植医療推進に向けた活動に取り組む
同大学病院臓器移植医療部准教授・嶋村 剛先生に
移植医療に関わる動きと、そしてこれからについてお聞きしました。

嶋村先生にははじめに、移植医療に関わるようになった経緯をお聞きしました。
「医師として勤務をはじめた当初、肝臓ガンの研究グループに所属したことがきっかけだった、と言えるかもしれません。その頃はまだ肝臓ガンは5年後生存率が20〜30%と、手術をしても再発の可能性が高い病気だったので、研究を通じ少しでも患者さんを救える可能性を広げたいと考えていました。そんな時、当時肝移植では世界的にも高い実績を誇っていたアメリカのピッツバーグ大学に留学。米国では肝ガンだけでなく肝硬変や劇症肝炎などの患者さんへ救命手段として肝移植が行われており、そこで現在の上司でもある藤堂教授に出会ったことが移植医療に本格的に取り組む契機になったと思います。」


その後、北海道に戻り生体肝移植を200例以上、脳死下提供の移植を12例手がけて来られた嶋村先生。実際に患者さんと関わる以外にも移植医療を広めるための活動を行っ ていらっしゃいます。

北海道各地で移植医療推進に向け講演を行っています。
(写真は市立函館高校での講演)

「8年程前から、北海道移植医療推進協議会に参加させていただき、北海道に住む皆さんに移植医療を知っていただくための活動を行ってきました。市民講座やメディア向けの勉強会での講演など、広く一般の方々に移植についての理解を深めていただくための活動の他、臓器提供に協力していただいている病院への施設訪問や、北海道知事の委嘱を受けて各病院で活動している院内移植コーディネーターの育成に向けた勉強会など、医療関係者へのアプローチも行っています。また救急救命や脳外科の現場で働く医師とのコンセンサスミーティングにもこれまで以上に力を注ぎたいと考えています。

様々な活動を通じ、移植医療の推進に尽力されている嶋村先生には、最後にこれから移植医療を推進するための課題とご自身の抱負を語っていただきました。
「協議会の活動を通し感じるのは、移植医療についての正しい知識を持つ人は少ない、ということ。これは一般の方だけでなく、メディアや医療関係で働く方にも言えると思います。しかし、移植の先進国アメリカでも、現在のように移植が一般的な医療行為として市民権を得るには、長い年月を擁したと聞いています。ですから、一人でも多くの患者さんの命を救うために、この活動を続けて行くことが必要だと考えています。
"SOMETHING RIGHT"正しいと思うことを信念を持って続けること、それが移植医療を推進するために欠かせないのです。」
嶋村 剛先生プロフィール

S62年に北大医学部卒業後、同第一外科入局。
H8年に米国・ピッツバーグ大学留学後、
H10年、豪州・ブリスベン市にてクイーンズランド肝移植プログラムに従事。
H12年帰道し、現在は北海道大学病院臓器移植医療部准教授。
日本移植学会や国際移植学会など肝臓病や移植医療に関わる学会に席を置き、
H13年より当協議会のメンバーとしても活躍されています。