イベントレポートVol16
 網走市を皮切りに北海道内各地で、医師会主催の臓器移植に関する講演会が開催されました。「移植医療のこれまでの取り組みとこれから」について北海道大学の 藤堂 省 とうどう さとる 教授がその豊富な経験から、わが国や北海道の現状などについて講演しました。時機を得たテーマとあって医師・看護師・コメディカル等、毎回100名を越える参加者が真剣に耳を傾けていました。

 脳死による移植の普及が第一義だとする藤堂教授。「生体移植は緊急避難的な医療で本来の医療ではない」「日本人が海外渡航移植をするその一方で、同じように待っている海外の子供の移植の機会が一つなくなるということを理解してもらいたい。これは決して美談ではない」と、率直な物言いで日本の移植医療の現状について言及されました。
 「北海道ではメディアの方や行政の協力もあり、道民のドナーカード保持率も高い。又、市立札幌病院から頂いたデータによると、臓器提供の意思確認をした際の承諾率は66.6%。このことからもわかる通り、一般の方の移植に対する意識はとても高い。一方それに比べると医療関係者の理解はまだまだ低く、こういった医療現場の認識の低さがなかなか普及しない一つの要因である」と述べました。
 又、今後、施設の体制整備や小児の臓器提供、移植コーディネータの問題などクリアしていかなければならない事項が沢山ある中、最重要な懸案について「移植医療の普及だけではなく、臓器を提供したドナー家族のケアが喫緊の課題。臓器を受け取るレシピエントだけではなく、提供するドナーやその家族へのサポートも含めて移植医療に従事する者の責任と思っている」と熱を込めて締めくくりました。

 13年間で86例にとどまっていた日本での脳死移植ですが、2010年7月17日の臓器移植法改正後、1ヶ月半ほどで8例の脳死判定が行われました。医療従事者が今後、実際に臓器提供の意思を示す患者さんやその御家族と接する機会が増えることは想像に難くありません。移植医療に関わる現状認識や問題点の提起を通し、医療従事者として参加者はその肩にかかる責任と患者さんや家族などからの期待を一層強く感じられたのではないでしょうか。





8月25日苫小牧医師会主催講演会
於:グランドホテルニュー王子



札幌での講演会では、北海道大学病院から嶋村剛先生が、「臓器移植推進に向けて-北海道における十年間の取り組み」市立札幌病院鹿野恒先生より「徹底した救命救急、そして看取りの医療の中での臓器提供を実践して」と題して講演し、移植外科医と救急医のそれぞれの立場から移植医療への取り組みを紹介されました。テレビや新聞などのメディアも多く取材に訪れていました。


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